【選ぶならどれ？】ダイヤモンド、人工ダイヤモンド、ジルコニアの違い

数ある宝石のなかでも最も美しく、貴重とされるダイヤモンド。しかし科学技術の進歩に伴い、その美しさを人の手で生み出すことが可能になってきました。「人工ダイヤモンド」や「ジルコニア」と呼ばれるストーンです。天然のダイヤモンドと両者はどう違い、どのように選べばいいのでしょうか？ ここでは、天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンド、ジルコニアの違いについて、さまざまな視点から比較検証してみます。

ダイヤモンドは地底約100マイル付近、超高圧、超高温の「マントル」で数億年、時には数十億年かけて生成される鉱物です。約99.95％の炭素からできており、宝石業界で使われる硬さの基準「モース硬度」では最高の10。最も硬い宝石であると共に、地球上で最も硬い鉱物だと言われています。

人工ダイヤモンド（ラボグロウンダイヤモンド）も炭素からなる鉱物ですが、その生成は人の手で行われます。合成には大きく2つの方法があり、1つはマントルの環境を人工的に再現するスタイル。高温に加熱した工場内で、高い圧力をかけて生成されます。もう1つは、メタンガスとマイクロ波を使って、ダイヤの種となる「炭素のかけら」を雪のように降り積もらせ、層を作っていくというもの。どちらも精製技術は非常に高く、プロの鑑定士でも、天然ダイヤモンドとの見分けが困難な完成度です。モース硬度はどちらも10。なかには天然のダイヤモンドより硬いものがあり、研磨材、切削工具などにも使われています。

一方ジルコニアは、ジルコニウムという金属の酸化物で、セラミックの一種です。このジルコニアにイットリウムやカルシウムなどの物質を加え、人工的に結晶化させたのが「キュービックジルコニア」と呼ばれる人工石です。

キュービックジルコニアは無色透明で屈折率が高いため、ダイヤモンドに近い輝きを放ちます。モース硬度は8.5。ダイヤモンドよりも低いですがセラミックの中では非常に高く、歯のクラウンなどにも用いられています。

それぞれの輝きと耐久性はどう違うのでしょうか。

ダイヤモンドは結晶の対称性が高く、2.419という、非常に高い屈折率を誇ります。様々な方向から光が入りやすく、光の多くが折れ曲がって反射し、強い輝きを放ちます。さらに、輝きがより効果的に見えるよう、人の手によって優れたカットも施されています。

また結晶構造が堅固なため耐久性も高く、酸やアルカリ溶液に触れてもほとんど変化が起きません。他の鉱物と擦りあっても傷つくことはないでしょう。ただし、割れやすさの指標である「靭性（じんせい）」は低いため、瞬間的な力には弱いところも。落としたり衝撃を与えると、割れてしまう危険性があります。

人工ダイヤモンドは、生成されるプロセスが異なるとはいえ、天然ダイヤモンドとほぼ同じ鉱物です。そのため輝きや耐久性に遜色はなく、硬度は人工ダイヤモンドのほうが高いものもあります。両者の違いを見た目だけで判断するのはプロでも難しいのですが、天然ダイヤモンドは内部にわずかなインクルージョンがあるのに対し、人工ダイヤモンドは完全にクリアです。

キュービックジルコニアの輝きを示す屈折率は、2.15。ダイヤモンドの2.417に近く、肉眼では違いはほとんどわかりません。ですが暗いところでは、輝きが弱くなってしまうという特徴があります。加えて、息を吹きかけると曇ってしまったり、長期間使用していると輝きが落ちる場合も……。耐久性については、ダイヤモンドに比べると硬度が低いため、やや傷がつきやすいという弱点があります。その一方でキュービックジルコニアは人工石のため、さまざまなカラーを造ることができます。ダイヤモンドの代わりに日常使いするのにはぴったりのジュエリーと言えるでしょう。

ダイヤモンドの値段は、米国宝石学会による国際的な品質基準「4C」によって決まります。「4C」とは、Cut（輝き）、Carat（重さ）、Color（カラー）、Clarity（透明度）の頭文字を取った名称です。この4要素を宝石鑑定士が評価するのです。需要と供給の影響はありますが、基本的に4Cのグレードが高いほど、ダイヤモンドの値段も価値も高まります。同じ1カラットのダイヤモンドでも、100万円未満で手に入るものもあれば、上を見れば数百万円するものもあります。

人工ダイヤモンドは科学的に見ると天然ダイヤモンドと同じ鉱物であり、天然ダイヤモンドと同じように、品質評価国際基準に基づいた「4C」によって評価されます。ただし希少性や唯一性といった観点から、天然ダイヤモンドよりも安価なのがポイント。価格の目安は、天然ダイヤモンドの30～60%程度。つまり、ダイヤモンドと全く同じ品質のジュエリーを、コスパ良く手に入れることができるのです。

他方、キュービックジルコニアの価格は、直径のサイズによって変わります。もちろん、大きければ大きいほど高くなるのですが、デザイン性や、付帯素材によっても値段が異なります。数千円から数万円程度までさまざまですが、ダイヤモンドと比べるとかなりリーズナブルなことは間違いありません。

天然ダイヤモンドの採掘においては、環境への負荷が心配されています。たとえば、大規模な露天掘りで土地が掘り起こされることにより、森林が伐採され、野生動物の生息地が奪われ、生態系のバランスが崩れてしまいます。また採掘で使用される薬品や重金属、廃棄物に含まれる化学物質が、周辺で水質や土壌汚染を引き起こし、周辺の住民の健康や生活に悪影響を及ぼす可能性も……。さらにダイヤモンドの採掘や加工、輸送の過程で、多くの化石燃料が使用されます。これにより、二酸化炭素が大量に排出され、地球温暖化の原因となっています。

加えて、ダイヤモンドの採掘をされる国は発展途上国であることが多く、採掘労働者にとってみれば宝石の採掘は、重要な収入源です。そのため、過酷な労働環境や子供たちの長時間労働も問題になっているのです。ダイヤモンドは高い価値があるがゆえに、武装集団の収入源になってしまうこともあります。

翻って人工ダイヤモンドやジルコニアはラボで造られるため、自然破壊や児童労働などに加担することはありません。また天然ダイヤモンドと異なり、いずれ枯渇してしまう資源ではありません。30億年をかけて生成される天然のダイヤモンドに対し、人工ダイヤモンドは数週間程度で出来上がります。これらの理由から、自然と調和するエシカルな選択をするジュエリーとして、多くの著名人に支持されています。

天然ダイヤモンドは、宝石に神秘性や希少性を求める方におすすめのジュエリーです。また、母から娘へと時を越えて受け継がれるような、高品質でラグジュアリーなジュエリーを探している方、資産価値を考えて購入される方にもおすすめです。

人工ダイヤモンドがおすすめの方は、高品質なダイヤモンドを求めているけれど、環境への関心も高い方です。また、手頃な価格でより美しく、グレードの高いジュエリーを楽しみたい方にもぴったりです。

ここまで、天然ダイヤモンド、人工ダイヤモンド、ジルコニア、それぞれの特性を比較し、あなたに最適な宝石を選ぶための情報をご紹介してきました。ライフスタイル、予算、そして価値観に合わせて、最適な宝石を選んでくださいね。最後に、人工ダイヤモンドに興味を持ってくださった方に向けて、長く愛用いただける人工ダイヤモンドジュエリーベスト５をご紹介します。ぜひチェックされてみてください。

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